室町幕府 佐々木銀弥 小学館

日本の歴史 13 室町幕府

日本の歴史 13 室町幕府

経済的な側面を中心に室町時代を分析している。
▽「土一揆と徳政」土一揆が、「開闢以来」の正長の場合、後花園天皇の即位と義教の将軍後継という、後南朝関東公方の反発、細川持之畠山基国の対立が背景にあり、義教横死の嘉吉はもちろん、文明も細川政元一揆を観閲し、その後、管領畠山政長から政元に代わっている、などといった土一揆の背景や、徳政によって得をしたのが公家や将軍側近(分一銭からわかる)ということから、地侍や馬借のさらに黒幕にそうした支配層が位置していたことを示唆している。
▽「市と関所」では、乱立された関から徴収された関銭分の損害は商品価格に転嫁されつけは最後に消費者に回ってくるが、皮肉なことに中世後期の消費者は関所を設けた公家・社寺・武家であり、救いようのない悪循環となったと、場当たり的な経済政策を批判している。
▽そして「荘園村落と名主百姓」では、枡を取り上げ、年貢を収納する枡は支払い用の枡より大きいこと(甚だしい場合、2倍違う)を指摘し、「支配階級の醜い、陰湿な収奪の性格」とする。そして、年によって耕作されない「片あらし」と呼ばれた不安定耕地は必ずしも天災によって偶発的に発生したものではなく、地力回復のためか、または領主の収奪に抵抗する手段であったか、と推測している。