森に眠る魚 角田文代

森に眠る魚

森に眠る魚

マンションで、幼稚園で知り合った5人の女。境遇が似ている者もいれば異質な者もいる。心を許した友となったあとに訪れた亀裂。天真爛漫に見えて実はただの身勝手である「繭子」が特に異分子で、セレブでお受験の女たちの中に混ざり込んでいるのが、面白い。それぞれの女が憎悪をため込んでいて、誰が誰の子を殺すのか、と思ったが(実際の事件からみると、「千花」の子になるのだろうが)。それぞれがそれなりのラストを迎える中で、5人のうち、おそらく最も「いい子」である「恵」が最も不幸そうなのは、作者が嫌いなタイプなのかな。