成熟日本への進路 波頭亮

成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)

成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)

少子高齢化の日本は「成熟国家」であり、国民誰もが「医食住」を保障される社会を目指すべきとして、成長論ではなく分配論を説く。医師を増やし介護士を増やし医療と介護を無料化し生活保護を充実するための財源は、消費税10%と資産課税の強化で十分に賄える。公共事業はもはや有害であり、雇用対策であれば直接国民に金を配った方がいい。また派遣労働の規制強化には反対で、従業員として民間企業に雇用を保障されるのではなく、国民として国家に生活を保障されるべきであるとして、労働者の解雇が自由な分、徹底的な社会保障があるデンマークの高い経済成長を挙げている。「多くの行政官が日常的に享受している」という「気分の利権」という表現が楽しい。