本居宣長の『
古事記伝』を、「近世神話」の創造である、という観点で論じている。「中世神話」という、
日本書紀を中世的に、
神仏習合的に解釈というより創造していった、そういう系譜として位置づけているのだろう。徳川
幕藩体制の
儒教論理とは別の統一的な考え方、京都という
天皇との親近感あふれる場所での遊学体験、そして意外だったのが西洋
天文学の知見が盛り込まれていると。すなわち、西洋という存在があって中国を相対化することができ、グロー
バルスタンダードとしての中国から離れて日本の優位性を主張する根拠とする論理展開ができたのだ。
古事記が
日本書紀を解釈(特に音)するうえでの史料として扱われる際に、その重要性を増すための「工作」ひいては
偽書の可能性など、へえ、という記述が多い。