日本の国境 山田吉彦

日本の国境 (新潮新書)

日本の国境 (新潮新書)

沖ノ鳥島等に実際に足を運び巡視船に乗り込んでの報告。ややナショナリズム的だが、海洋国家としての統一的な施策のない日本の現状を強く訴えている。中国の尖閣領有権の主張は全くナンセンスであることはわかるが、反日デモをしている人たちはどの程度の根拠で双方が主張しているのか、知っているのだろうか。知らずに政府当局の宣伝に乗せられているのだろうか。中国のやり方は尖閣に限らず原潜の領海侵犯や違法な海洋調査など、問題が多い。竹島北方領土については、50年実効支配し独島死守を叫ぶ国民と問題の存在すらほとんど知らない国民とでは勝負にならないかも(竹島)とか、択捉は経済発展しているが国後や色丹は景気が悪く離島する人が後を断たないことから先ずは二島先行返還を求めては(北方)など結構現実的なことが書いてある。石垣のクリアランス船の話と環境や安全面、中国と台湾の直接交流が盛んになった後どうするかなどの課題については初めて知った。