2007-09-27 鎌倉擾乱 高橋直樹 読んだ本 鎌倉擾乱作者: 高橋直樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1996/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る期待通りの佳作の連作集。「非命に斃る」。源頼家の悲劇を、梶原景時を「重し」とし北条時政の遠江守任官の意義のとらえ方。さすがだ。「異形の寵児」。なぜ宗綱は頼綱につかなかったのか、ラストが見事。頼綱の張り巡らす監察の網につぎつぎにかかる御家人や御内人の描写は迫力満点だ。「北条高時の最期」。そしてだんだんと衰える得宗家。自らの無能さを身に染みてトップの孤独の悲哀さと鈍感さ、そして感性の鋭さを持つ高時の姿が淡々と描かれる。