<通訳>たちの幕末維新 木村直樹

“通訳”たちの幕末維新

“通訳”たちの幕末維新

オランダ通詞が英語中心となった幕末期をどう対処していったか、集団として個人として叙述している。個人的には、外国船が乗せていた中国人通訳とのやりとりを通じていわばサブチャンネルとしての機能を果たしていた唐通事たちや、佐賀藩の「館入」楢林宗建が幕府と並行してゲベール銃を輸入しようとしたこと、エピローグに一言しか出てこないが、元掛川藩士安政2年に日本を密出国してロシアに仕えたという橘耕斎、そして通詞をはじめとする幕臣たちの受け皿となった静岡藩などに興味をそそられた。